資産運用・投資

元債券ディーラーとして、今思うこと

こんにちは。元金融マン投資家の甘栗太郎です。

シリコンバレーバンク(SVB)の破綻による信用不安から、シグネチャーバンクなどの破綻、そして名門のクレディ・スイスがUBSに救済合併されるところまで波及しました。

SVBはほとんどの資金を米国債やMBS(不動産担保証券)という優良債券で運用していましたが、満期までまだ先の債券が多く、金利の急な引き上げに対応できなかったようです。優良債券でも異常なスピードの金利上昇リスクには弱かったわけです。

甘栗太郎も金融機関で外国債券等への投資を担当していたときは、米国長期債やMBSは格付けが高く利回りも高かったので、中心的な投資先でした。信用リスクへの対策は安全性の高い債券を選択すれば良いですから米国債やMBSへの投資が間違っているとは言えません。というか、金融機関の安全な運用手法として正しいと言えます。しかし、金利が上がったり下がったりするリスクはうまくコントロールできません。せいぜい、満期までの期間を分散させる程度です。甘栗太郎が担当していた当時は金利は緩やかに下がり、債券価格は緩やかに上昇する局面だったので、ラッキーな時期でした。

債券の金利と価格はシーソーのような関係で金利が上がると債券価格は下がります。満期まで持てば額面100%で元本が戻ってきますが、金利が上昇して途中で債券を売ると、損失が出ます。

SVBが大部分の運用を債券に頼っており、しかも金利上昇に弱い長期債券に偏っていたのは、金融機関としてのポートフォリオ管理が杜撰だったと言うしかありません。

SVBの債券担当者は金利が上がり始めても(価格が下落しても)、実現損が出ることを恐れて対応が遅れ、上層部も金利上昇のスピードを甘く見ていて傷が広がったと思います。

ただ、他の米国の銀行、そして世界中の金融機関が債券運用していますから、結構な含み損を抱えているはずです。そして、米国FRBや世界中の中央銀行はインフレを抑えるために更に金利を上げ、金融機関にダメージを与えようとしています。

外国債券の含み損については、日本の金融機関でも昨年から大問題となっており、特に地方の金融機関は厳しいと思いますが、株式売却、融資推進、人件費の削減など別で利益を出して解消するしかないと思います。

なお、今後について日本の金融機関に対して心配しているのは、日本国債の方です。

日本の金利はほとんどゼロというのがこれまでの常識になっていますが、上がってくれば、日本国債は暴落します。

今は日銀は金利を上げない方針を貫いていますが、継続できるか疑わしい状況です。インフレが進む中で日銀は金融緩和という逆の政策を続けていますが、いつかは金融引き締め(金利引き上げ)に転じるはずです。

日本の金融機関は今のうちに日本国債の残高を減らしたり、長期債から短期債に入れ替えるなどの対応が必要ですが、たぶん後手にまわるでしょう。

特に日本の地方銀行の株への投資はリスクが高そうです。

残念ながら、またいつか問題になると思います。

それでは、また。

幸せな投資生活を!